ミトコンドリアを増やす方法とは? ミト活辞典流、ゆる筋トレ+“つらくない”有酸素運動+休養の考え方
ミトコンドリアを増やすには筋トレや有酸素運動が効果的ですが、毎回きつい運動で自分を追い込む必要はありません。大切なのは、筋肉を適度に使い、“つらくない”強度の有酸素運動を習慣にしながら、しっかり休んで回復することです。
この記事では、ミトコンドリアが運動によってどう適応するのかをひも解きながら、ミト活辞典流の筋トレ・有酸素運動・休養の考え方を紹介します。
ミトコンドリアを増やすには、きつい運動が必要?
ミトコンドリアを増やすために、毎回息が切れるほど激しい運動をする必要はありません。ウォーキングや軽いジョギングなど、比較的低い強度の有酸素運動でも、継続することでミトコンドリアの量や機能の向上が期待できます。
もちろん、きつい運動には意味がないわけではありません。高強度の運動も、ミトコンドリアに適応を促す刺激になります。一方、持久系のトレーニングでは、低強度の運動をある程度の時間・量で積み重ねることも、ミトコンドリアの適応につながると考えられています。つまり、きつければきつほどミトコンドリアが増えるという単純なものではありません。
| 強度 | 体感の目安 | 運動中の感覚 |
|---|---|---|
| 低強度 | 楽〜やや楽 | 鼻呼吸でも続けやすく、ふつうに会話できる |
| 中強度 | ややきつい | 呼吸が弾み、長い会話はしにくくなる |
| 高強度 | きつい〜かなりきつい | 息が上がり、会話を続けるのが難しい |
※運動強度にはさまざまな分類方法があります。ここでは、自覚的なきつさや呼吸、会話のしやすさをもとにした、おおまかな目安を示しています。鼻呼吸のしやすさにも個人差があります。
では、運動するとミトコンドリアには何が起こるのでしょうか。まずは「ミトコンドリアを増やす」とはどういうことなのか、そのしくみから確認していきましょう。
ミトコンドリアを増やすメリットについてはこちら
ミトコンドリアを増やす&活性化するメリットは? 疲れにくさ、脂肪燃焼、記憶力、アンチエイジングまで
そもそも「ミトコンドリアを増やす」ってどういうこと?
「ミトコンドリアを増やす」とは、細胞内にあるミトコンドリアの量を増やすことです。ただし、ミト活辞典では、量だけでなく、エネルギーをつくる能力や、ミトコンドリアの品質を保つことも重視しています。
ミトコンドリアは、一定の条件が整うことで増えることがわかってきました。代表的な方法として知られているのが筋トレや有酸素運動ですが、適度なカロリー制限や温度ストレスといった生活習慣上の刺激も、ミトコンドリアを増やす方法として注目されています。
この記事では、日常生活に取り入れやすく自分の体力に合わせて調整しやすい運動に着目し、具体的な方法をみていきます。
ミトコンドリアは「使われる」ことで適応する
筋肉を動かすには、「エネルギー通貨」とも呼ばれるATP(アデノシン三リン酸)が必要です。私たちの細胞はATPを介して、さまざまな生命活動に必要なエネルギーを受け渡しています。
運動によってATPの消費量が増えると、筋肉の細胞では「もっとエネルギーをつくらなければ」と、その需要に応えるための反応が始まります。その中心的な役割を担うのが、PGC-1α(ピー・ジー・シー・ワン・アルファ)です。PGC-1αは、ミトコンドリアの新生やエネルギー代謝に関わる多くの遺伝子の働きを調整する因子で、運動による刺激をミトコンドリアの適応につなげています。
こうした刺激を繰り返すことで、筋肉は必要なエネルギーをつくりやすい状態へと少しずつ変化していきます。つまり、ミトコンドリアを増やす基本は、筋肉を使ってエネルギーを必要とする状況をつくり、それを継続することです。
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| ミトコンドリアの適応イメージ(in my 脳内)。ミト活が目指すのは、量・機能・品質の向上です。 |
増やすだけじゃない、「量・機能・品質」を育てよう
ミト活で目指したいのは、ミトコンドリアをただ増やすことではありません。「量」「機能」「品質」の3つをバランスよく育てることで、必要なエネルギーを効率よくつくれるようになり、持久力の向上や疲れにくい体づくりにつながります。
- 量:細胞内のミトコンドリアを増やし、エネルギーをつくる設備を充実させる
- 機能:酸素や栄養素を利用してATPをつくる能力を高める
- 品質:傷んだミトコンドリアを修復・除去し、元気に働ける状態を保つ
ミト活辞典では、この3つを含めて、ミトコンドリアが働きやすい身体環境を育てることを「ミト活」と呼んでいます。
筋トレと有酸素運動の二刀流がおすすめの理由
筋トレと有酸素運動は、どちらもミト活に取り入れたい運動ですが、役割が少し違います。
筋トレの大きな役割は、ミトコンドリアが「住む場所」である筋肉を維持し、育てること。筋肉量が減れば、ミトコンドリアを抱える組織そのものも小さくなります。まずは筋肉を使い、ミトコンドリアが働ける土台を保つことが大切です。
一方、有酸素運動が得意なのは、その筋肉の中にあるミトコンドリアの量や、酸素を使ってエネルギーをつくる能力を高めること。長く動き続けるためのエネルギー供給能力を育てるのが有酸素運動の役割です。
つまりミト活では、筋トレで「住む場所」を育て、有酸素運動で「そこで働くミトコンドリア」を育てる。この2つを組み合わせて考えます。
ミト活の基本①|まずは「ゆる筋トレ」で筋肉を使おう
ミト活の第一歩として、まず取り入れたいのが筋トレです。筋トレには、年齢とともに減りやすい筋肉を保つという大きなメリットがあります。
筋肉は、立つ、歩く、階段を上るなど、日常のさまざまな動作でたくさんのエネルギーを使う組織です。筋肉の中で働くミトコンドリアを増やし、エネルギーをつくりやすい状態にしておくことは、疲れにくく、ラクに動ける身体づくりにもつながります。
ここでいう「ゆる筋トレ」とは、無理なく続けられる強度で行う筋トレのこと。特別な器具は必要ありません。スクワットなどの自重トレーニングをはじめ、立ったまま、座ったまま、寝たままできる種目もたくさんあります。まずは自分にできる方法で、筋肉を使うことから始めましょう。
筋トレは「重ければ重いほどいい」わけではない
筋トレというと、重いウエイトを持ち上げたり、限界まで追い込んだりするイメージがあるかもしれませんが、ミト活のために筋肉を使うなら、最初から高い負荷をかける必要はありません。
自分の体重を利用する自重トレーニングでも、フォームを意識して筋肉をしっかり使えば筋トレになります。ジムに通わなくても自宅でスキマ時間に実践できるので、無理なく続けられるのもメリットですよね。
大切なのは、重さを競うことではなく、自分に合った負荷で正しく筋肉を使い、続けること。慣れて物足りなくなってきたら、回数や負荷を少しずつ増やしていきましょう。
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| 負荷が足りなくなったらこんな手も。効かせたいところに負荷がかかっていることを意識しながら行うと、効率よく鍛えられます。 |
大きい筋肉を優先的に育てよう
筋トレといっても、最初から全身をくまなく鍛える必要はありません。まずは、立つ・歩く・階段を上るといった日常動作にも欠かせない筋肉が集中している下半身を優先的に使うのがおすすめです。
お尻や太ももなど、大きな筋肉が集まる下半身には、全身の筋肉の約6〜7割が集中しているともいわれています。まずは、スクワットやヒップリフトなど、シンプルな自重トレーニングから始めてみましょう。
余裕が出てきたら、お腹や胸、背中などの筋トレを加えていけばOK。胸を鍛えるなら、床でのプッシュアップが難しい人は、キッチン台などに手をついて立った姿勢から始める方法もあります。筋肉量が少なく、初心者には難易度が高めの腕の筋トレは、最後でかまいません。
筋トレは、正しいフォームで行うことも大切です。初めて行う種目は、動画などで動きを確認してから実践してみてください。
筋トレはフォームが重要です。動画を参考に正しい姿勢で効果につなげましょう。私が参考にした動画を紹介します。
1. 正しい姿勢で効果につなげる「スクワット」の方法
2. キュッと上げる!垂れ尻対策に効果的な「ヒップリフト」のやり方とコツ
ミト活の基本②|有酸素運動を習慣に! ポイントは“つらくない”強度
筋トレと並行してルーティンに取り入れたいのが、有酸素運動です。有酸素運動を続けると、筋肉ではミトコンドリアが増えたり、その機能が高まったりして、酸素を使ってエネルギーをつくる能力が向上していきます。
ミト活が目的なら、息が上がるほど追い込む必要はありません。自分に合った“つらくない”強度で、無理なく続けることから始めましょう。
息が切れなくても、運動には意味がある
「運動は、きつくないと効果がない」と思っている人もいるかもしれませんが、息が切れない程度の軽い運動でも、筋肉を動かしているあいだはATPが使われ、ミトコンドリアにはエネルギーをつくる仕事が発生しています。
低強度の有酸素運動には、脂質がエネルギー源に使われやすくなるというメリットも。運動強度が高くなるにつれて糖質の利用割合が増えるため、脂質代謝を育てたい人はもちろん、体脂肪を燃焼させたい(※)人にもおすすめです。
※「脂質を使う割合が高い=そのまま体脂肪がたくさん減る」という意味ではありません。体脂肪を減らすには、運動を続ける時間や頻度、1日のエネルギー収支なども関係します。
無理のない強度から少しずつステップアップ
有酸素運動を始めるときは、最初から強度を上げすぎないことも大切です。「負荷が高いほど効果がありそう」と考えがちですが、負荷を上げすぎて5分で疲れてしまうより、強度を下げて20分、30分……と無理なく動き続けるほうが、ミト活には向いています。
まずは、「これなら無理なく続けられる」と感じる強度からスタートしましょう。運動に慣れてきたら、時間を少しずつ延ばし、それでも余裕があるようなら強度も少しずつ上げていきます。
体力がついてくると、以前はきつかった強度でも楽に動けるようになります。同じ運動でも、続けていくうちに自分にとっての“つらくない”強度は少しずつ変わっていくので、最初はびっくりするくらいのんびりでも、まずは数カ月続けてみてください。
“つらくない”強度の目安は、「鼻呼吸ができる・会話ができる」くらい。より詳しい強度の決め方は、こちらの記事で紹介します。
多彩な運動種目のなかから自分に合った有酸素運動を選ぼう
有酸素運動というと、まずジョギング(ランニング)を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、ミト活に取り入れられる運動はほかにもたくさんあります。ウォーキングやサイクリングなどは、その代表格。大切なのは、自分の体力や運動経験、身体の状態に合った運動を選ぶことです。
ミト活辞典では、以下のような有酸素運動を低強度で行うことをおすすめしています。
【ジムに通っている人】
- エアロバイク
- トレッドミル
- クロストレーナー
- 水泳・水中ウォーキング
- ビギナー向けのエアロビクス
- ダンスレッスン(息があがらない程度の)
【ジムに通っていない人】
- ウォーキング
- ゆっくりとしたジョギング
- 自転車
- ハイキング
- 踏み台昇降
- ステッパー
膝や股関節、腰などに不安がある人は、痛みを我慢してウォーキングやランニングをする必要はありません。エアロバイクやクロストレーナー、水中ウォーキングなど、身体への負担を抑えながら続けられる種目を探してみましょう。
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| 筆者は長年高強度中毒でしたが、エアロビクスやジョギングをするミトたんズを想像するうちに、低強度有酸素運動も楽しく感じられるようになりました。大型ビジョンに映っているお姉さんは、PGC-1αを擬人化した速筋担当の総司令官です。 |
「高強度ほど効く」は条件次第
高強度の運動も、ミトコンドリアの適応を促す有効な刺激で、短い時間に強い刺激を入れられるというメリットがあります。一方で、強度が高いぶん身体への負担が大きく、回復に時間を要するというリスクも。
慣れたら、低強度を「主食」、高強度を「スパイス」に
低強度の有酸素運動に慣れて体力がついてきたら、中〜高強度の有酸素運動も少しずつ取り入れてみましょう。インターバル走や縄跳び、高強度のスイムなら、短い時間でもしっかり強度を上げられます。
「きつい運動は苦手」という人は、楽しみながら取り組める種目を選ぶのもおすすめ。Group Fight(MOSSA)やBODYCOMBAT(Les Mills)に代表される格闘技系エクササイズやテンポの速いエアロビクスなどの中〜高強度有酸素運動プログラム、アップダウンのある山登りなど、選択肢はいろいろあります。
ただし、高強度を毎回行う必要はありません。ミト活辞典では、低強度を「主食」に、高強度を「スパイス」として取り入れるくらいのバランスをおすすめします。
ランニングなどの持久系トレーニングでは、運動の約80%を低強度、残り約20%を中〜高強度にする「80:20」という考え方があります。この比率に厳密に合わせる必要はありませんが、低強度を中心にして、高強度を適度に組み合わせるという考え方は、ミト活でも参考になります。
NIKE|ランニングに必要なスタミナと持久力をつける方法
【重要】「できる運動量」と「回復できる運動量」は違う
運動に慣れて体力がついてくると、「まだ動ける」「もう少しできる」と感じる機会も増えてきます。でも、その日にできる運動量と、次の日までに回復できる運動量は同じではありません。
とくに中〜高強度の有酸素運動は、運動中は元気にこなせていても、あとから疲労が表れることがあります。さらに、筋トレやほかの運動を組み合わせれば、1回ごとの負荷はそれほど大きくなくても、疲労は積み重なっていきます。
ミトコンドリアの適応は、運動している時間だけに起こるものではありません。運動によって刺激が入ると、その後もミトコンドリア新生に関わる遺伝子発現やタンパク質合成などが進み、身体は次の運動に備えて適応していきます。つまり、ミト活は「運動して終わり」ではなく、回復まで含めてワンセットです。
大切なのは、「今日はどこまでできるか」だけでなく、「この運動からきちんと回復できるか」まで含めて運動量を考えること。翌日の仕事や家事、次のトレーニングに影響するほど疲労が残るなら、強度や時間、頻度を見直したいものです。
ミト活の基本③|休養まで含めてトレーニング
ミト活辞典では、睡眠や食事、休養日なども含めて、次の運動に向けて身体を整えるところまでをトレーニングの一部と考えます。
刺激→回復→適応をルーティンに!
ミト活の基本は、以下のサイクルを繰り返すことです。
- 運動する
- 休む
- また運動する
一度にたくさん運動するよりも、回復できる範囲で運動を習慣にし、刺激と回復のサイクルを続けることが重要です。
運動で刺激 ➔ 食事・睡眠・休養で回復 ➔ 適応 ➔ 次の運動へ
このサイクルで無理なく続けるうちに、疲れにくさや回復力も高まっていきます。
ミト活を始めるタイミングで、生活のリズムや睡眠の質を見直してみるのもひとつの手です。運動だけでなく、しっかり回復できる環境も一緒に整えていきましょう。
「翌日に疲労を残さない」をひとつの目安に
運動量を決めるときは、「翌日の生活や次のトレーニングに影響するほどの疲労を残さない」ことを、ひとつの目安にしてみましょう。
もちろん、筋トレをした翌日に筋肉痛が残ることはあります。ここでいう「疲労」とは、筋肉痛そのものではなく、「なんとなく疲れがとれない」「身体が重だるい」「いつもの運動がつらい」といった状態のことです。
そんな日が続くようなら、がんばりすぎのサインかもしれません。運動の強度や時間を下げる、オフ日を増やすなどして、刺激と回復のバランスを調整してみてください。
まとめ|ミト活は、自分に合った方法を見つけるところから
ミトコンドリアを増やし、その機能を育てるために、毎回きつい運動で自分を追い込む必要はありません。
筋肉を適度に使う筋トレと“つらくない”強度の有酸素運動をバランスよく取り入れ、十分な休養を確保するのがミト活辞典の基本スタンス。自分の体力や運動経験、身体の状態に合った方法を、無理なく続けることが大切です。
まずは今日からできることをひとつ、生活のなかに取り入れてみませんか。
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