ミト活の始め方は? 運動が苦手な人にもおすすめのゾーン2の低強度有酸素運動導入方法と持続するコツ

ミト活を始めるなら、まず取り入れたいのが、ゾーン2を目安にした低強度の有酸素運動。ウォーキングやジョギングなど、身近な運動から始められます。

いざ始めてみると、「歩くだけでは心拍数が上がらない」「少し走ると上がりすぎる」といった悩みが出てくることも。心拍数の上がり方には個人差があり、自分に合った運動強度を見つけるには少しコツが必要です。

この記事では、自分に合った運動の選び方から、ゾーン2の心拍数の目安、うまくゾーン2に入れないときの調整方法、続けるコツまでを紹介します。運動が苦手な人はもちろん、ゾーン2トレーニングを取り入れたいランナーも、ぜひ参考にしてください。

ミト活は何から始める? まずは基本の手順をチェック

ミト活を始めるからといって、いきなり長時間走ったり、きつい運動に挑戦したりする必要はありません。まずは、自分が無理なく続けられる有酸素運動を見つけるところからスタートします。

基本的な流れは、次の5ステップです。

◇ステップ1|まずはミト活に取り入れやすい有酸素運動を見つけよう
◇ステップ2|ゾーン2の目安を確認しよう
◇ステップ3|心拍数を見ながら運動強度を調整しよう
◇ステップ4|無理のない時間から始めよう
◇ステップ5|ログを取りながら変化をチェックしよう

大切なのは、最初から「正しいゾーン2」を完璧に当てようとしないこと。実際の心拍数の上がり方には個人差があり、年齢から計算した目安がそのまま当てはまるとは限りません。

まずは動いて、測って、調整する。その繰り返しのなかで、自分にとってのゾーン2を見つけていくのがミト活の第一歩です。

ステップ1|まずはミト活に取り入れやすい有酸素運動を見つけよう

ミト活のための有酸素運動は、ランニングに限りません。ウォーキングや自転車、エアロバイク、水泳など、さまざまな運動を活用できます。まずは、無理なく続けられそうな運動を選んで、実際に身体を動かしてみましょう。Apple WatchやGarmin、Fitbitなどのウェアラブル端末で心拍数を計測できる人は、運動中にどのくらいまで心拍数が上がるのかもチェックしてみてください。

運動経験や体力によっては、ウォーキングでも十分に心拍数が上がります。一方、早歩きをしてもなかなか上がらない人もいます。ここではまだゾーン2にぴったり合わせる必要はありません。自分がどんな運動なら無理なく続けられて、心拍数がどのくらい上がるのかを知るところから始めます。

ジムに通っている人と、通っていない人に分けて、取り入れやすい運動をみていきましょう。

ジムに通っている人におすすめの運動

ジムに通っている人は、マシンやスタジオレッスンなど、いろいろな運動を試してみましょう。おすすめは次のような種目です。

◇トレッドミルでのウォーキング・ジョギング
◇エアロバイク
◇クロストレーナー
◇ビギナー向けのエアロビクス
◇ダンス系レッスン
◇水泳・アクアビクス・水中ウォーキング

マシンを使う運動は、速度や傾斜、負荷などを変えながら、自分に合った強度を探せるのがメリットです。たとえば平地のウォーキングでは心拍数が上がらなくても、トレッドミル(ランニングマシン)に傾斜をつければ、走らずに強度を上げられます。

スタジオレッスンを選ぶなら、最後まで無理なく動き続けられるものから。周りのペースに合わせる必要はありません。ウェアラブル端末で計測できる人は、レッスン中の心拍数も確認しておくと、どの種目ならゾーン2付近の強度で続けやすいかを知る手がかりになります。

ジムに通っていない人におすすめの運動

ジムに通っていなくても、ミト活はすぐに始められます。普段の生活のなかで取り入れやすい運動から試してみましょう。

◇ウォーキング・早歩き
◇ジョギング
◇自転車
◇登山・ハイキング
◇踏み台昇降
◇ステッパー
◇ランニング経験者ならLSD走(Long Slow Distance)
◇動画を見ながらのダンス

もっとも手軽なのはウォーキングです。いつもの散歩から少しペースを上げたり、坂道のあるコースを選んだりするだけでも運動強度を変えられます。ウォーキングでは物足りない人は、ゆっくりしたジョギングや自転車なども試してみましょう。

自宅で身体を動かしたい人なら、YouTubeなどの動画を見ながらのダンス、踏み台昇降、ステッパーなども選択肢になります。天候に左右されず、ちょっとした空き時間にできるのもメリットです。

この段階では、「どれが一番ミト活に効く?」と考えなくても大丈夫。続けやすく、運動強度を調整しやすいものをいくつか試しておくと、このあとのゾーン2探しがしやすくなります。

ステップ2|ゾーン2の目安を確認しよう

ミト活に取り入れやすそうな運動が見つかったら、次はゾーン2の心拍数を確認してみましょう。

ゾーン2の心拍数は一人ひとり違いますが、年齢からおおよその目安を計算できます。実際の最大心拍数には個人差があるため、計算どおりにならない人も珍しくありません。

年齢からゾーン2心拍数の目安を計算してみよう

ゾーン2の心拍数を知る簡単な方法のひとつが、年齢から最大心拍数を推定して計算する方法です。

よく使われるのが、次の計算式です。

推定最大心拍数 = 220 − 年齢

さらに、推定最大心拍数の60〜70%をゾーン2の目安として計算します。
たとえば50歳の場合、推定最大心拍数は170拍/分。ゾーン2は、その60〜70%にあたる約102〜119拍/分がひとつの目安になります。

【年齢別ゾーン2心拍数帯の目安】

年齢 推定最大心拍数 ゾーン2の目安(60〜70%)
20歳 200 120〜140
30歳 190 114〜133
40歳 180 108〜126
50歳 170 102〜119
60歳 160 96〜112
70歳 150 90〜105
80歳 140 84〜98

この表は「この心拍数で運動すれば誰でもゾーン2になる」というものではありません。あくまで、自分の運動強度を探すための最初の目安です。

ただし、ゾーン2には複数の考え方(※)があり、最大心拍数の60〜70%はあくまで簡単に計算するための目安です。実際のゾーン2と必ず一致するわけではありません。また、同じ年齢でも最大心拍数にはかなり個人差があります。

※最大心拍数の推定にはいくつかの計算式があります。「220−年齢」は広く知られている簡便な方法ですが、あくまで推定値です。研究では「208−0.7×年齢」などの推定式も提案されています。

次は、「220−年齢」で計算した数字が自分に当てはまらない場合についてみていきましょう。

ゾーン2については、以下の記事でも紹介しています
ゾーン2がミトコンドリアを育てる有酸素運動の目安になるのはなぜ? 心拍ゾーンとミト活の関係を深掘り

「220−年齢」が当てはまらない人もいる

「220−年齢」で求められる最大心拍数は、あくまで年齢から計算した推定値です。実際の最大心拍数には個人差があり、同じ年代でも高い人、低い人がいます。

たとえば筆者は50代後半ですが、Garminが自動算出する最大心拍数は190拍/分前後。年齢式から求めた数字とは大きな差があるため、年齢だけをもとにゾーン2を設定すると、実際の運動強度とずれてしまうことがあります。

ただし、最大心拍数は高ければ高いほど体力がある、低ければ体力がないというものではありません。大切なのは数字の高低ではなく、自分の最大心拍数に合った運動強度を知ることです。

Apple WatchやGarminなどを長く使っていて、自分の最大心拍数がある程度わかっている人は、年齢別の早見表だけでなく、これまでに記録した自分のデータも参考にしてみましょう。

無理なく続けられる強度で

ゾーン2の大きなメリットは、無理なく続けられる強度で、長時間動きやすいこと。ウェアラブル端末がない場合は、鼻呼吸を続けられるかどうかも強度を判断する手がかりになります。ちなみに筆者は、吸うときも吐くときも鼻からの呼吸を意識しています。

運動を始めると、筋肉ではATP(アデノシン三リン酸/身体を動かすためのエネルギー源)の需要が増え、それに応じてミトコンドリアによるエネルギー産生も活発になります。運動強度が上がるほど1分あたりに必要なATPの量も増え、解糖系など、すばやくATPを供給する仕組みの割合も大きくなっていきます。

ゾーン2のメリットは、ミトコンドリアによる酸化的なエネルギー産生をしっかり使いながら、比較的低い負担で運動量を積み重ねやすいこと。ミト活では、こうした時間を継続的につくることを重視します。

運動強度によるミトコンドリアと解糖系のエネルギー産生の違いを表したイメージ画像
運動強度が上がると、すばやくATPを供給する解糖系の活躍が目立つように。ミトコンドリアも引き続き働いています。

ステップ3|心拍数を見ながら運動強度を調整しよう

ゾーン2の目安がわかったら、実際に身体を動かしながら運動強度を調整してみましょう。

実際にやってみると、「歩くだけで心拍数が上がりすぎる」「早歩きしてもゾーン2まで届かない」「少し走っただけでゾーン4に達してしまう」など、人によってさまざまなパターンがあります。

心拍数の上がり方は人それぞれ。うまくゾーン2に入れないときは、運動のしかたや種目を少し変えながら調整していきましょう。

少し動いただけで心拍数が上がりすぎる場合

低強度の有酸素運動に慣れていない人は、ウォーキングや軽い運動でも心拍数が大きく上がることがあります。早歩きにしただけでゾーン2を超えてしまうなら、無理にペースを上げる必要はありません。

まずは普通のウォーキングから始めて、心拍数を確認しながらペースを調整してみましょう。ゾーン2を超えたら少しペースを落とす、下がったらまた少し上げる、というように調整します。

筋トレや高強度の運動をしている人でも、低強度の有酸素運動に慣れているとは限りません。「運動しているのに心拍数が上がりすぎる」と焦らず、ゾーン2付近を保ちやすいペースを探してみましょう。

ウォーミングアップが重要な理由

運動するときは、いきなり本番の強度まで上げず、ウォーミングアップから入りますよね。ミト活も同じです。

運動を始めた直後は、ミトコンドリアによるエネルギー産生もまだ立ち上がりの途中。筋肉への血流や酸素の供給が増えるにつれて、ミトコンドリアも徐々に運動に必要なATPをつくる体制へ移っていきます。

最初はゆるく動き、身体が温まってきたら、徐々にゾーン2を維持しやすい強度まで上げてみましょう。

早歩きしてもゾーン2まで心拍数が上がらない場合

反対に、ウォーキングではなかなかゾーン2まで心拍数が上がらない人もいます。早歩きにしても届かないからといって、無理に歩くスピードを上げる必要はありません。

まず試したいのが、坂道や階段などを利用して少しだけ負荷を上げる方法です。ジムなら、トレッドミルの速度はそのままに、傾斜をつけるのもひとつの手。それでも心拍数が上がらない場合は、ジョギングや自転車、クロストレーナーなど、別の運動を試してみましょう。歩くことにこだわらず、ゾーン2付近の心拍数を維持しやすい運動を探すのがポイントです。

歩くと上がらないのに走るとゾーン3以上に入ってしまう場合

「ウォーキングではゾーン2まで届かない。でも、走り始めるとゾーン3以上まで上がってしまう」。そんな人もいます。

筆者もミト活を始めたころはこのタイプでした。歩いても心拍数は上がらないのに、走るとゾーン3や4に入ってしまい、ゾーン2に収まる運動強度がなかなか見つかりませんでした。

こんな場合は、「歩く」「走る」のどちらかに決める必要はありません。ランニングとウォーキングを組み合わせながら、ゾーン2付近に心拍数を調整する方法があります。

自分にぴったりのゾーン2メニューを探してみよう

ゾーン2を続ける方法は、ひとつではありません。ひとつの種目や一定のペースにこだわらず、心拍数を見ながら、自分がゾーン2を維持しやすいメニューを探してみませんか?

たとえば、走ると心拍数が上がりすぎる人なら、ランとウォークを交互に繰り返す方法があります。

200m走って200m歩く、100mだけ走って、500m歩く……といった具合に。距離を決めず、心拍数がゾーン1まで下がったら少し走り、ゾーン2を超えたらまた歩く、といった調整でもOKです。

いろいろ試して、自分に合ったペースを探してみてください。

慣れてきたら、「どのくらい走ると心拍数が上がるか」「どのくらい歩けば下がるか」が少しずつわかってきます。距離や時間、ペースを組み合わせながら、ゾーン2で動ける時間を増やせる自分なりのメニューをつくってみましょう。

筆者がたどり着いたゾーン2の神ツール「クロストレーナー」

筆者がゾーン2トレーニングを続けるなかで、「これは神!」と思ったのがクロストレーナーです。

クロストレーナーのメリットは、負荷と回転数を変えながら心拍数を細かく調整できる点。私はマトリックスのクロストレーナーを使っていますが、負荷1〜4、回転数62rpm前後で、TVを観ながらマイペースでミト活に励んでいます。

ロング走の翌日や筋肉に疲労が残っている日は、負荷や回転数を少し落とすなど、その日のコンディションに合わせて調整できるのも便利。走ると心拍数が上がりすぎる、歩くと上がらないという人にも使いやすく、ゾーン2だけを狙って有酸素運動をするなら、筆者のイチオシです。

クロストレーナーは、負荷や回転数によって運動の性格を変えられるのも特徴です。低負荷ならゾーン2の低強度有酸素運動を続けやすく、負荷を上げれば臀筋や背中、肩などを使った筋力トレーニングにも活用できます。さらに負荷や回転数を上げれば、高強度の有酸素運動として使うこともできます。

機種にもよりますが、クロストレーナーには心拍センサーが搭載されているものが多く、運動しながら心拍数を確認できます。ウェアラブル端末を持っていない人にもおすすめです。

心拍数をゾーン2に「着地」させる500mスイッチ法

筆者の場合、ウォーミングアップ後にゆっくり走り始めても、なかなかゾーン2まで心拍数が上がらないことがあります。

そんなときは、最初の500mほどを少し速めに走り、心拍数をゾーン2の上限付近まで上げます。場合によっては、一時的にゾーン3まで上げてしまうことも。そこからペースを落とすと、心拍数がゾーン2に「着地」し、そのまま巡航しやすくなります。

筆者が勝手に「500mスイッチ法」と呼んでいる方法ですが、ゾーン2に入るまでの時間を短縮したいときに便利です。

ステップ4|無理のない時間から始めよう

ゾーン2の運動時間に、「最低◯分やらなければ意味がない」という決まりはありません。最初から長時間続けようとせず、自分が無理なく終えられる時間から始めましょう。

まずはウォーミングアップも含めて、20分程度から始めてみましょう。慣れてきたら30分、40分と少しずつ時間を延ばしていきます。普段から運動している人なら、体調をみながらもう少し長く続けてもかまいません。

大切なのは、一度に長時間がんばることより、翌日に疲労を残しすぎず、継続できること。ゾーン2に慣れてくると、同じ時間でも楽に動けるようになったり、より長く続けられるようになったりします。

私の場合、平日は1日平均20分程度。週末はウルトラマラソンのトレーニングを兼ねて、合計3〜10時間ほどゾーン2で動くこともあります。これは長時間の運動に慣れている筆者の例なので、同じ時間を目指す必要はありません。

Garmin Connectで管理している有酸素運動の記録画像

クロストレーナー30分の記録。筋トレ後のほぐしも兼ねて取り入れています。

ステップ5|ログを取りながら変化をチェックしよう

ゾーン2トレーニングを始めたら、運動した時間や心拍数を記録しておきましょう。Apple WatchやGarmin、Fitbitなどを使っている人なら、運動後のデータをアプリで管理するだけでもOKです。

ログを残しておくと、「同じ心拍数でも少し速く走れるようになった」「以前より長く動けるようになった」など、自分では気づきにくい変化も拾いやすくなります。

まずはこんな項目を記録してみよう

最初から細かく記録する必要はありません。

◇運動の種類
◇運動時間
◇平均心拍数・心拍ゾーン
◇ペースや速度、負荷
◇呼吸の楽さ
◇運動後や翌日の疲労感

このあたりがわかれば十分です。睡眠や体調なども一緒に記録しておくと、「今日はなぜ心拍数が高かったんだろう?」と振り返る材料になります。

「がんばれたか」より「どう変わったか」をチェックしよう

ミト活のログで注目したいのは、どれだけ追い込めたかではありません。

同じ心拍数で以前より速く走れるようになった、同じ負荷でも呼吸が楽になった、長く動いても疲れにくくなった――。そんな小さな変化を追いかけてみましょう。

1回ごとの数字に一喜一憂するより、数週間、数か月単位で眺めるのがポイントです。

ミト活ログと一緒に「モーニングレポート」で変化を観察中

筆者は毎朝、Garminのモーニングレポートをチェックしています。とくに見ているのが、トレーニングレディネス、睡眠、HRV(心拍変動)の3つ。記録をAIにも共有し、1日ごとの数字ではなく、1週間単位で変化を追っています。

ミト活を始めたころと比べて、なかでも大きく変わったのがHRVです。日々の数値が上下するだけでなく、HRVのベースラインそのものが以前より高い範囲へ移ってきました。もちろん、HRVが上がったからといって「ミトコンドリアが増えた」と判断することはできません。ただ、運動だけでなく、睡眠や回復も含めて身体がどう変化しているかを見る材料として、とても役立っています。

HRV変化の画像
1年前・ミト活スタート時・直近のHRVステータス。日々の数値には波がありますが、長期的に見ると、自分の基準となるHRVベースラインは以前より高い範囲へ移動しています。直近では51〜62ms前後です。ちなみに、HRVが大きく下がっている時期を振り返ると、筆者の場合はレースなどで大きな運動負荷がかかったときや、風邪をひいたときがほとんど。数字だけを見るのではなく、「その時期に何があったか」とセットで振り返るようにしています。

ゾーン2なのに全然疲れない! これで合ってる?

ゾーン2で運動してみると、「こんなに楽で本当に意味があるの?」と不安になる人もいるかもしれません。でも、ゾーン2はもともと長時間続けられる低強度の運動。息が上がらず、運動後にも余力が残っているのは不思議なことではありません。

ただし、「楽なら何でもゾーン2」というわけでもありません。心拍数がゾーン1のままだったり、ほとんど運動負荷を感じなかったりする場合は、強度が低すぎる可能性もあります。心拍数や呼吸、体感などを合わせて確認してみましょう。

ウェアラブル端末の回復系の指標を活用しよう

ウェアラブル端末を使っている人は、運動後のリカバリータイムやトレーニング負荷、回復状態などもチェックしてみましょう。名称や算出方法はメーカーによって異なりますが、低強度でも長時間続ければ負荷が積み重なることがあります。

私はゾーン2トレーニングを始めたころ、運動後にGarminのリカバリータイム(※)もチェックしていました。1時間程度のゾーン2ではリカバリータイムがほとんど増えないこともありますが、1〜5時間と長く続けると、低強度でもそれなりに増えていきます。ゾーン3以上の運動が混ざると、リカバリータイムの増え方も大きくなります。ゾーン5まで強度を上げると、わずか数分でも数時間増えることも。

低強度だから疲労しないわけではありません。運動による負荷は、強度だけでなく時間によっても変わります。

※Garminのリカバリータイムは、次のハードなトレーニングに向けて、身体が十分に回復するまでの目安です。

同じ運動でも心拍数は変わる

ゾーン2の運動に慣れてくると、「いつもと同じペースなのに、今日は心拍数が高い」「反対に、なかなか上がらない」という日があることに気づくかもしれません。

心拍数は運動強度だけで決まるものではありません。気温や湿度、睡眠、疲労、体調、食事、カフェイン、花粉や騒音といった環境ストレスなど、さまざまな要因によって変化します。気温の高い季節は心拍数が比較的高めで推移することが多く、交通量の多い道では瞬間的に跳ねるケースもあります。

そのため、「いつもこのペースならゾーン2だから」と速度や負荷を固定するのではなく、その日の心拍数を見ながら運動強度を調整することが大切です。

筆者の場合、ジムでクロストレーナーをしている最中、背後でウェイトを落とす大きな金属音がすると、驚いて心拍数が一瞬で跳ね上がることがあります。床まで揺れるほどの「ガシャーン!」では、ゾーン2から一気にゾーン5まで表示が上がることも。

心拍数が大きく跳ねたときは、いったん動きを止めたり、ペースを落としたりして、数値が落ち着いてから再開するのも一策です。

身体が変われば、ゾーン2で動けるペースや負荷も変わる

ミト活を続けていると、以前と同じ運動をしても心拍数の上がり方が変わってくることがあります。たとえば、以前はウォーキングでゾーン2に入っていたのに、同じペースでは心拍数が上がらなくなったり、同じ心拍数でも以前より速く走れるようになったりすることがあります。

こうした変化には、心臓や血管、筋肉などさまざまな適応が関係しています。そのひとつとして考えられるのが、筋肉のミトコンドリアの量や働きが向上し、酸素を使ってエネルギーをつくる能力が高まった可能性です。以前と同じ運動が、身体にとっては以前ほど大きな負荷ではなくなっていると考えると、ワクワクしませんか?

筆者もミト活を始めたころは「歩くと低すぎる、走ると高すぎる」状態でしたが、現在はゆっくり走るだけではゾーン2まで心拍数が上がらないことがあります。

そんな変化が出てきたら、ペースや傾斜、回転数、負荷などを少しずつ調整してみましょう。身体が変われば、ミト活のメニューも変わります。最初に見つけた方法にこだわらず、現在の自分がゾーン2付近で無理なく続けられるペースや負荷を探していきましょう。

「前より少し速く動けた」「同じ運動が少し楽になった」「もう少し長く続けられた」。そんな小さな成長と、小さな達成感を見つけられるのも、ミト活の楽しさのひとつです。

すでに走っている人がゾーン2トレーニングを始める前に

日ごろからランニングをしている人がゾーン2トレーニングを取り入れる場合は、運動初心者やブランクのある人とは少し違ったポイントがあります。

とくに、GarminやApple Watchなどのウェアラブル端末を長く使っている人は、これまで蓄積してきたデータも大切な情報です。ゾーン2中心のトレーニングに切り替える前に、現在の最大心拍数やVO₂maxなどを一度確認しておきましょう。

現在の最大心拍数を記録しておこう

ゾーン2トレーニングを始める前に、ウェアラブル端末に設定されている最大心拍数を確認しておきましょう。

トレーニングを続けるなかで、Garminなどのウェアラブル端末が自動算出する最大心拍数が更新されることがあります。

表示される最大心拍数が以前より低くなっても、それだけで体力が落ちたとは限りません。最大心拍数は体力そのものを表す数字ではなく、デバイスが自動算出した値が、そのまま実際の最大心拍数とも限らないからです。

最大心拍数をもとに心拍ゾーンを設定している場合、この数字が変わるとゾーン2の範囲も変わります。ミト活を始めるときは、その時点でデバイスに設定されている最大心拍数を記録しておくとよいでしょう。

ゾーン2上限を固定するため最大心拍数の手動設定もアリ!?

筆者の場合、ウルトラマラソンやジャーニーランに向けてゾーン2だけで走り込んでいた時期は、Garminが自動算出する最大心拍数が188〜190拍/分の間で揺れていました。筆者のGarmin(Forerunner 265S)では、最大心拍数が189拍/分になるとゾーン2上限が131拍/分、190拍/分では132拍/分になります。わずかな違いですが、ゾーン2の基準を一定にして記録を比較しやすくするため、最大心拍数を190拍/分に手動設定していました。

VO₂maxが下がってもあわてない

ゾーン2中心のトレーニングを続けていると、ウェアラブル端末に表示されるVO₂maxが以前より低くなることがあります。

とくに、それまで行っていたスピード練習や高強度トレーニングを減らした場合は、VO₂maxの数値が下がっても、それだけで「トレーニングがうまくいっていない」と判断する必要はありません。VO₂maxの向上を狙うトレーニングと、ゾーン2を中心に持久力の土台をつくるトレーニングでは、重視する運動強度が異なります。レースなどに向けてVO₂maxを高めたい時期になったら、インターバル走などの高強度トレーニングを再び取り入れていきましょう。

ゾーン2だけにする必要はない

ゾーン2は、低強度で長く動きながら持久力の土台をつくるのに取り入れやすい運動強度ですが、ゾーン2だけですべての能力を伸ばせるわけではありません。

もっと速く走りたい、レースで記録を狙いたいという場合は、目的に応じてテンポ走やインターバル走、坂道トレーニングなど、より強度の高い運動も必要になります。筋力を維持・向上するための筋トレも大切です。

ゾーン2と高強度トレーニングは、どちらか一方を選ぶものではなく、目的に応じて組み合わせることができます。

まとめ|自分のゾーン2を見つけて、ミト活を始めよう!

ミト活は、ウォーキングやジョギング、自転車など、身近な有酸素運動から始められます。

ゾーン2の心拍数には目安がありますが、心拍数の上がり方は人それぞれ。「歩くと届かない」「走ると上がりすぎる」という人も、ペースや負荷、運動の種類を調整しながら、自分に合った方法を探してみましょう。

大切なのは、「正しい数字」に自分を合わせることではなく、自分の身体を観察しながら、そのときの自分に合ったゾーン2を見つけること。小さな変化や成長を楽しみながら、ミト活を続けてみてください。

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